生活習慣病とは
生活習慣病とは、主に不健康な食生活や運動不足、喫煙、過度の飲酒など、日常生活の習慣が原因で発症する病気のことです。代表的な生活習慣病には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、心臓病、脳卒中などがあります。
高血圧とは
安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態のことです。原因の有無によって本態性高血圧と二次性高血圧に分類されます。
高血圧の90%が本態性高血圧です。収縮期血圧が140㎜Hg以上、拡張期血圧が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。
本態性高血圧とは
原因の明らかでない高血圧のことです。遺伝や体質、生活習慣、加齢などが関与して発症すると考えられています。自覚症状に乏しいです。
二次性高血圧とは
原因疾患の症状としての高血圧のことです。腎性高血圧、内分泌性高血圧、血管性高血圧などがあります。重症または治療抵抗性を示す高血圧、急激な発症、若年での発症などの場合、二次性高血圧の可能性が高いです。
症状
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 動悸
- 息切れ
検査
- 血圧測定
リスク因子
アルコール、喫煙、寒冷、加齢、薬剤、塩分など
糖尿病とは
インスリンが分泌されなくなる、もしくはインスリンは分泌されるが効きにくくなるなどのインスリン作用不足によって細胞が糖を正常に取り込めなくなり、慢性の高血糖となる疾患です。
糖尿病は成因により、1型糖尿病、2型糖尿病の2つに主に分けられます。
1型糖尿病とは
膵β細胞の破壊的病変により絶対的インスリン欠乏(インスリン依存状態)となる疾患のことです。小児〜思春期に多くみられますが、中高年でもみられます。
2型糖尿病とは
インスリン分泌障害とインスリン抵抗性の増大が様々な程度で生じ、慢性の高血糖状態となる疾患です。
症状
- 多飲
- 多尿
- 口渇
- 体重減少
- 易疲労感
検査
- 血液検査
- 耐糖能検査
リスク因子
生活環境の急速な欧米化(摂取エネルギーの過剰、肥満、運動不足、ストレスなど)の環境因子と、遺伝因子が関係しています。
脂質異常症とは
血清コレステロールや血清トリグリセリドの異常高値、HDLコレステロールの異常低値をまとめて脂質異常症と言います。 動脈硬化性疾患の危険因子です。 自覚症状に乏しいですが、放置すると動脈硬化が徐々に進み、その結果心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な合併症をもたらすため、早期発見・早期治療が重要です。
症状
- 無症状あるいは動脈硬化、脂質の蓄積による症状
- 動脈硬化による症状(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症)
- 脂質異常症による症状(高コレステロール血症、黄色腫(腱黄色腫、眼瞼黄色腫)など)、角膜輪、胆石、高トリグリセリド血症(膵炎、肝脾腫、発疹性黄色腫、網膜脂血症)
検査
- 血液検査
- 頸部超音波検査
リスク因子
- 生活習慣の乱れ(過食、過度の飲酒、運動不足、喫煙)
- 加齢
- 遺伝因子
- 基礎疾患
- 薬物の影響
健康診断で引っかかった方へ
健康診断で「再検査」になったときは
健康診断などで「要検査」などの結果が出ても、放置していませんか?「面倒だから」「病気が見つかるのが怖いから」「自分で生活習慣を改善できるから」といった理由も聞かれますが、結果を生かして医師に相談することがご自身の健康維持・向上に繋がる第一歩です。 それがきっかけで大きな病気が見つかる可能性もあります。
健康診断での要経過観察、要再検査、要精密検査、要治療といった指示は、ご自身の健康を守るためのサインとして捉えましょう。 以下が健康診断で指摘されやすい項目です。 気になる項目がある方はお気軽に当院をご受診ください。
血圧が高い
診察室で血圧を測定した結果、140/90㎜Hg以上となると高血圧に該当します。その90~95%の方が単一の原因では説明できない本態性高血圧症ですが、5~10%の方は明確な原因のある二次性高血圧症とされます。 本態性高血圧の方は生活習慣の改善や薬剤治療が中心となります。二次性高血圧は原因を取り除ければ根治的治療が可能です。当院では、患者さん一人ひとりの原因を突き詰めて考え、的確で丁寧な治療を目指しています。
コレステロールが高い
コレステロールは主に3種類に分類することができます。悪玉と言われる「LDLコレステロール」、善玉と言われる「HDLコレステロール」、中性脂肪「トリグリセライド」です。HDLは40㎎/dlを下回ると、TGは150㎎/dlを超えると高値とされ、LDLは一人ひとり目標となる数値が異なります。気になる方はお気軽にご相談ください。
尿酸値が高い
尿酸値が高いと、痛風発作を起こしやすくなります。患者さん一人ひとりの血液検査や尿検査から尿酸が高くなる原因を探り、その結果に応じて生活習慣の改善をはじめとした治療を行います。
腎臓の数値が高い
腎臓の数値、クレアチニンや尿素窒素の数値が高い状態とは、老廃物が体外に排出できていない状態を意味します。放置すれば、慢性腎臓病や慢性腎不全に繋がる可能性があります。初期症状が現れることは少ないため放置されてしまう方も多いですが、病状が進むほど腎臓の数値の改善は困難になりますので、早期対応が重要です。
血糖値が高い
糖尿病を患っている、もしくはその予備軍である可能性があります。生活習慣や食事を改善し、無理のない努力を継続することが糖尿病の予防には大切です。血糖値についてご不安をお持ちの方は、お気軽にお越しください。
尿の異常
毎回の健康診断でたんぱく尿や尿潜血を指摘される場合、慢性腎臓病の可能性が考えられます。尿の異常は腎臓の働きの低下を意味します。疲れ気味だから、昨日食べたものが影響しているからと、自己判断して放置するのは非常に危険です。また、たんぱく尿が続くと最終的に慢性腎不全へいたる可能性もあります。健康診断で示された身体のサインを放置せず、早期受診を心がけてください。
肝臓の異常
血液検査でアルブミン・ビリルビン・AST・ALT・YGTP・ALPといった数値が悪化している状態は、肝臓の働きが低下していることを意味します。 肝臓は、たんぱく質や糖分の合成、解毒、分解など様々な機能を持っています。アルコールだけでなく、コレステロール、薬の服用、ウイルスなど様々な要因が肝臓機能の低下に繋がる可能性があります。
肝臓の異常が発見された場合、追加の血液検査や超音波検査を受けると、より詳細な原因を探ることができます。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、異常があっても自覚症状なく病気が進行してしまうこともありますので、数値に異常が現れた際は詳しい検査を受けるようにしましょう。
貧血
健康診断で指摘される貧血とは、赤血球が不足し血液が薄くなっている状態のことを指します。MCVという、赤血球一つひとつの大きさを表す数値を調べれば原因が探れます。 MCVが大きければ大きいほど、赤血球細胞が大きいということを示します。
MCVが小さい場合は、鉄分不足が原因の場合が多いです。 貧血をきっかけとして胃潰瘍や胃がんからの出血を起こし鉄分不足が起こす疾患が見つかるケースは多いため、貧血を軽視せずにしっかりと検査を受けるようにしましょう。